擁壁
うらかたくん(HPB)
概要
うらかたくんは、間知ブロック積み擁壁やもたれ式擁壁に代わる新しいスピード土留プレハブ工法の大型ブロック擁壁工で、専用裏型枠(KCパネル)付き、ハーフ(Half)、プレキャスト(Precast)、大型ブロック(Block)の製品です。
また、緑化タイプの大型ブロックとして、「うらかたくん」の形状を基本とした練積み専用の「Coco・A・グリーン」もあります。
写真
特徴
- ハーフプレキャストとは、工場にてインサートを埋込んだブロックとKCパネルを現地にてセパレーターを介して連結する工法です。裏型枠の組みばらし工程が省略され飛躍的に工程が短縮されます。
- 従来の積みブロックの額面・控長を大型化し、前壁に勾配(1:0.5)を付けている為、製品を水平に据付けるだけで簡単に所定の勾配に築造出来ます。
- 製品を1段毎に積み上げ、胴込(裏込)工を施し、所定の高さ迄築造する大型ブロック積擁壁です。
- 胴込・裏込のコンクリートの打設圧力はセパレーターをブロックと専用裏型枠につなぐ事で相殺する為、施工時に変位する恐れが無くなります。
- 練積用のハーフプレキャストブロック構造ですので、従来のコンクリート擁壁と同様、土圧の大きさに応じて、断面厚を選定しながら安定条件を確保する事が可能です。
- 専用裏型枠のKCパネル[耐腐食性樹脂型枠(材質:ポリプロピレン系複合材)]は、脱型をせずにそのまま埋めて使用しても、環境に与える影響はありません。また、KCパネルはリサイクル材を用いた製品で環境に配慮しています。
- 歩掛りについては、石積・コンクリート擁壁の様に石工・型枠工を必要とせず、特殊作業員(ブロック工)と普通作業員で充分なので従来工法・類似大型ブロックと比較しても、極めて省力的で現在の建設業界に即した工法と言えます。
- 水抜き孔は約1m2に1個を設けており、ブロック1段毎に排水が可能です。又、吸出防止材は一般に市販されている不織布が適当です。
デザインバリエーション
製品規格
標準施工断面図
施工断面は、背面の地山または盛土の土質・地形条件から、安定計算により下図のように決定します。尚、基礎形状は支持地盤の条件よっては安定計算を行い、変更することもあります。
設計と施工
1)根入れは、用途(道路、河川等)によって従来の擁壁と同じ考え方です。短区間で縦断勾配に変化がある場合は、各種基準に従い最小根入れを確保して、一定勾配にするか、高さ調整の異形タイプを使いながら階段状にする等の方法があります。
2)適用範囲(最大使用高さ)としては、15m程度が目安となります。
※(社)土木学会四国支部『大型ブロック積み擁壁設計・施工マニュアル』(平成16年6月発行)参照。
3)伸縮継手目地(間隔)は、従来の同形態の擁壁と同じ考え方で設計して下さい。
※基準例:国土交通省 10m、NEXCO 20m
4)基礎及び天端コンクリートの寸法、形状は現場の諸条件に合わせて決定して下さい。
5)据付け及びコンクリート打設手順は別途”築造仕様書”を参照して下さい。
6)本工法は、専用裏型枠・セパレーターを標準仕様としておりますのでご使用の際は、事前に付属部品の取り扱いについてご相談下さい。
(市販の部品では控長が確保出来なかったり、正確に固定出来ない場合があります)
7)施工は製品および重機械の取扱いに十分注意し、安全な作業を行って下さい。
施工手順
KCパネルについて
KCパネルは、特殊樹脂を原料に作られた耐腐食性埋め捨て用裏型枠です。このKCパネルは、従来擁壁工事等で使用される裏型枠とは少し使用方法が違い、セパレーターでブロックと連結し、コンクリート部材の一部として使用するものです。また、KCパネルには複数の開口部を設け、胴込め・裏込めコンクリートと裏込め材料との付着を考慮した形状となっております。
KCパネルは、埋め捨て用裏型枠なので施工後土中に埋設されますが、原料に環境ホルモン含有物質を一切使用しておりませんので、安心して御使用いただけます。
KCパネルは、現場で簡単に取付け施工が可能であり、コンクリート打設後撤去する必要もありませんので、施工工程を大幅に短縮できます。
このようなことから「うらかたくん」は通常の施工現場は勿論、緊急施工を必要とする災害復旧の現場でもお役に立てる大型ブロックです。
参考歩掛り
○ 断面厚=1.5m、高さ=8m(8段積)、延長=100m当り